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漢字の常識|「齎す」とはどういう意味?読み方から例文までチェック!

漢字の常識|「齎す」とはどういう意味?読み方から例文までチェック!

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難しい漢字を目にして戸惑った経験はありませんか?意味を知りたくても、読み方がわからないと調べられずに困ってしまいますよね。大人になったからこそ、難読とされる漢字の意味や使い方を学びたいと思う人は少なくありません。そこで、本記事では漢字の知識を増やしたいという人に役立つ情報をお届けします。今回注目したのは「齎」という漢字。「齎す」と使いますが、どうやって読むのでしょうか?どんな意味があるのか、具体的な例文もご紹介していきます。

「齎す」の基本情報を確認

「齎す」の読み方は?一般的に使われる漢字?
「齎」の部首は「齊、貝」で、21画の漢字です。1文字の場合、音読みで「シ、セイ、サイ」、訓読みで「ああ、たから、もたら、もちもの」という読み方をします。「齎」の意味は、「たから、財貨、もたらす」です。「齎す」と書いた場合は、訓読みに送り仮名をプラスした形となり「もたらす」と読みます。「齎す」は常用漢字ではありません。JIS第2水準に該当し、漢検1級で扱われる漢字でもあります。そのため、ひらがなで表記されるのが一般的です。


「齎す」にはどんな意味があるの?
「齎す」という言葉は、下記のように大きく2つの意味合いがあり、用途に合わせて使い分けられます。


1.持ってくる、持っていく
「よい知らせを齎す」といった使い方をします。


2.好ましくない状態を引き起こす、生じさせる、ある結果を招く
「彼女との出会いが彼に良からぬ変化を齎した」「山火事が甚大な被害を齎す」のように、ネガティブな意味として使われることもあります。

「齎す」の類似語や対義語は?知っておくと便利な豆知識

「齎す」の意味や使い方がわかったところで、続いては類似語や対義語について見ていきましょう。


意味によって異なる「齎す」の類似語
「齎す」には複数の意味合いがあるため、類似語も1種類ではありません。使う意味によって異なる類似語をご紹介します。


・引き起こすという意味を持つ「齎す」の類似語
1つめは「意図的ではなく生起させる、生じさせる」という意味で使われる類似語。よく使われているのが「引き起こす」です。たとえば、「事故を引き起こす」、「騒動を引き起こす」といった使い方をします。また、予期せぬ悪い結果をもたらす、意図せず悪い結果を引き起こすといったときには、「来(きた)す」や「招く」といった類似語がぴったりです。「来(きた)す」は、結果としてある状態を生じさせるときに使われます。たとえば、「支障を来す」のように、意図せず悪い結果を引き起こすという意味で使われる類似語です。「招く」は、好ましくない事態を引き起こすという意味で使われます。「惨事を招く」、「誤解を招く」というような使い方をする類似語です。


・起こる原因という意味を持つ「齎す」の類似語
2つめは、「危機を生じる」といったように、起こる原因という意味で使われる類似語です。「招来(しょうらい)する」は、ある結果になるようにするときに使われます。たとえば、何かの原因によって結果としてある事態を招く場合に使われる類似語です。「不備な説明が誤解を招来する」といった使い方をします。


・現れるという意味を持つ「齎す」の類似語
3つめは、「彼の言動が争いを引き起こした」のように、「現れる・起きるように喚起・刺激する」という意味で使われる場合です。「惹起(じゃっき)する」は、事件や問題などを引き起こすことという意味で使われます。たとえば、「混乱を惹起する」、「重大事件を惹起する」といった使い方をする類似語です。


「齎す」の対義語・反対語
類似語と同じように、「齎す」の反対語も意味合いによって使う言葉が異なります。持ってくる、引き起こす、生じさせる、結果を招くという意味の反対語を使いましょう。何も起こらない、結果が生じないなどの意味を持つ言葉が該当します。なお、「齎す」には明確な対義語は見当たりません。
「齎す」のおもな反対語と意味を見ていきましょう。


音沙汰なし:音沙汰が手紙など消息を知らせるものを意味します。音沙汰がない=連絡が取れない、音信不通の状態に使われる言葉です。


阻害:邪魔することを意味します。「進行を阻害する」といった使い方です。


阻む:進もうとするのを妨げる、防ぎ止める、拒むといった意味です。「前進を阻む」といった場面で使われます。


妨害:物事の進行や望んだどおりの完成を妨げることを意味します。「交通の妨害となる」といった使い方です。


没交渉:交渉がない、関わりを持たないといった意味です。「世間と没交渉な生活をする」といった使い方をします。


無関係:関係がないことや関わりがないことを意味します。「彼はこの事故とは無関係」といった使い方です。

「齎す」はどうやって使うの?例文を紹介

ここからは「齎す」を文章に取り入れる方法を、例文とともにご紹介していきます。


「齎す」は良い意味でも悪い意味でも使える
「齎す」には複数の意味があるので、状態や気持ちの変化などさまざまな切り口の表現に利用しましょう。
「吉報を持ってくる」ような良い意味と、「対立を引き起こす」といった悪い意味、2通りの使い分けができます。


・良い意味で使われる「齎す」とは?
望んだ結果を引き起こした、前向きな気持ちが生じるといった場面で「齎す」を使うと良い意味を表現できます。


良い意味で取り入れた「齎す」の例文
「これまで地道に積み重ねた交渉が身を結び、大きな利益を齎した」
「彼女が笑顔で明るく振る舞う姿が私に幸運を齎してくれる」


・悪い意味で使われる「齎す」とは?
悪い意味での「齎す」も、良い意味と同じようにプライベートなことから社会的なことまで幅広く使えます。


悪い意味で取り入れた「齎す」の例文
「巨大な台風が直撃したら壊滅的な被害を齎すだろう」
「あの人との関わりが私に不幸を齎したことは事実です」


「齎す」を使った例文をチェック
最後に、「齎す」を使ったさまざまな例文をご紹介していきます。文章を作成するときのご参考にしてください。結果が生じていない場合は、良い意味と悪い意味どちらにも該当しないような使い方もできます。


「新しい技術の開発が業界に革命を齎した」
「社員たちは会社に利益を齎すために、日々尽力している」
「先の見えない政策が国民に不安を齎している」
「子供が1人暮らしをはじめることは、我が家に変化を齎すだろう」
「彼らが目標を叶える姿は、多くの人に希望を齎した」

「齎す」の意味を知って正しく使いこなそう

今回は「齎す」という漢字について学んできました。常用漢字ではないので、初めて目にしたという方も多いのではないでしょうか?あまり馴染みがないかもしれませんが、良い意味でも悪い意味でも使いやすい言葉です。仕事やプライベートで幅広く活用でき、類似語や反対語にも使いやすい言葉が多くあります。例文をご参考にしながら、ぜひ大人向けの文章作成に挑戦してみてください。

編集&文/SANYO Style MAGAZINE編集部 写真提供/photoAC

 

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