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日本語の常識|「なおざり」はどういう意味?「おざなり」との違いは?

日本語の常識|「なおざり」はどういう意味?「おざなり」との違いは?

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大人として日本語を正しく使いたいと思うものの、ニュアンスが似ている言葉の使い分けに悩んでいませんか?何となく意味はわかるけれど、明確に区別するのが難しいというケースも多いのではないでしょうか。たとえば、「なおざり」も混乱しやすい言葉の1つ。「おざなり」と意味や表記が似ているため、どうやって区別したらいいか迷いがちです。そこで今回は、「なおざり」はどんな意味なのか、「おざなり」とはどこが違うのか詳しくご紹介していきます。正しく使い分けるためのご参考にしてください。

意外と知らない「なおざり」と「おざなり」の違いとは?

「なおざり」と「おざなり」にはどんな違いがあるのでしょうか?まずは、2つの言葉が持つ意味や由来について見ていきましょう


「なおざり」と「おざなり」の意味は?
「なおざり」と「おざなり」のどちらにも共通しているのが、「いい加減な対応」という意味です。そのため、使い分けが難しく、混乱しやすいといえるでしょう。

「なおざり」と「おざなり」は、「いい加減」という点では同じ意味を持っていますが、「対応」の程度に大きな違いがあります。

「なおざり」は、「多くの場合、何の対応もしない」という意味で使われる言葉です。いい加減で何も対応が見られないときに使われます。

「おざなり」は、「いい加減ではあるが、何らかの対応をする」という意味の言葉です。何もしない「なおざり」と異なり、何かしらの対応が見られるといった場合に使われます。


「なおざり」と「おざなり」の由来とは?
「なおざり」は、10世紀には使用例がある古い言葉で、語源には複数の説があります。その1つが「なほ(直・猶)+さり(去り)」という説です。

「なほ」は「そのまま何もしないでいること」、「さり」には「遠ざける」という意味を持ちます。合わせると、そのまま何もせずに距離を離す意味になることから、「何もしないで放置する」という場面で使われはじめたと考えられるでしょう。

一方、「おざなり」は19世紀のはじめ頃に使われ出した言葉で、「御座(敷)の形(なり)」を縮めたものです。御座敷は宴会の席を示していることから、「表面的な形ばかり取り繕うような言動」に向けて使われていたと考えられます。


「なおざり」と「おざなり」の覚え方
「なおざり」と「おざなり」の意味が違うことはわかっていても、表記や読み方がかなり似ているので混乱してしまうことも。覚えやすいように、一方を漢字に変換するのがおすすめです。

「おざなり」は「御座形」と書きます。言葉の由来でご紹介した「御座敷の形(なり)」と同じ漢字なので覚えやすいでしょう。
なお、「なおざり」は「等閑」と書きますが、難読なので覚えにくいかもしれません。

「なおざり」の類似語と対義語を チェック!

ここからは、「なおざり」についてさらに詳しくご紹介していきます。類似語や対義語を知って、表現の幅を広げましょう。


「なおざり」の類似語とは?
「なおざり」には、近い意味を持つ類似語が複数あります。どんな言葉に言い換えられるのでしょうか?例文と合わせてご紹介します。


【閑却(かんきゃく)】
「閑」は「いい加減」、「却」には「すっかり~してしまう」という意味があります。
2つを組み合わせた「閑却」は、「いい加減に放っておくこと」を意味する言葉です。


例文
「彼らはそれが今後の人生に関わる問題だと思わずに閑却していた」


【無頓着(むとんじゃく、むとんちゃく)】
「頓着」が「深く気にかけてこだわること」や「執着する」という意味であるのに対し、「無頓着」は「少しも気にかけないこと、そのさま」を意味します。


例文
彼は身なりに無頓着な人である。

このほか、「放置」「無視」「ぞんざい」なども、「なおざり」の類似語です。


「なおざり」の対義語とは?
【干渉(かんしょう】
放置する意味がある「なおざり」とは反対に、「他人のことに立ち入り、自分の意思に従わせようとすること」を意味しています。


例文
彼の友人関係にまで口を出して、彼女は干渉しすぎではないだろうか。


【きちんと】
「よく整っているさま」や「正確なさま」、「ぴったり」といった意味がある言葉です。
いい加減で何の対応もしない「なおざり」とは反対の表現に使われます。


例文
あの人は私の疑問にきちんと答えてくれた。


このほか、「構う」や「まめ」なども、「なおざり」の対義語です。

「なおざり」の使い方は?例文を紹介

最後に、「なおざり」の使い方と例文をご紹介します。表現したい意味に合わせて使い分けましょう。


「なおざり」の例文①
1つめは「いい加減にする」という意味で「なおざり」を使う場合です。

では、実際に例文を見ていきましょう。

・あの子は学生でありながら、学業をなおざりにしている。
・クレーム対応がなおざりだったため、顧客をさらに怒らせてしまった。
・寝坊して身だしなみがなおざりになった。


「なおざり」の例文②
2つめは「きちんとすべきことを、手を抜いていい加減にするさま」という意味での使い方です。

では、実際に例文を見ていきましょう。

・少子化はなおざりにできない問題である。
・部下が真剣に相談をしているのに、上司はなおざりに聞き流した。
・業務をなおざりにしてスマホを見ている。

「なおざり」の意味を知って「おざなり」と正しく使いわけよう

「なおざり」と「おざなり」は、どちらも「いい加減な対応」という意味を持つ言葉です。
使い分けるポイントは、対応の内容。「なおざり」はいい加減で何も対応しない、「おざなり」はいい加減だけど何らかの対応はするため、2つの言葉には大きな違いがあります。
意味だけでは覚えにくいという場合は、「なおざり」の由来や「おざなり」の漢字表記から区別しましょう。

編集&文/SANYO Style MAGAZINE編集部 写真提供/photoAC

 

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