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「おざなり」ってどういう意味?例文や類語を知って使いこなそう

「おざなり」ってどういう意味?例文や類語を知って使いこなそう

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目上の相手や上司、取引先などを相手にしてかしこまった言い回しをしたい場合には、たくさん言葉を知っていると便利です。この記事では「おざなり」の意味や例文、類語などについてご紹介します。正しい言葉を使い、誤解のないやりとりに努めましょう。

「おざなり」の意味と使い方

おざなりの基本的な意味について知っておきましょう。


「おざなり」の漢字は「御座形」
「おざなり」は漢字で「御座形」と書きます。「座」とは居合わせている当座の意味で、お座敷のこと。落語やお座敷遊び(宴会)のように顧客を楽しませる仕事をしている演者にとって、座とは舞台であり特別な場所です。芸事にはルールや型があり、座に出ている際にはいい加減なことがあってはなりません。


しかし、実際には顧客が喜ぶようにその場の雰囲気に合わせて手を抜いてしまうこともあったようです。そこから転じて、「おざなり」は「その場から逃れたくてその場限りのいい加減な言動をすること」という意味になりました。


「おざなり」の例文
おざなりは態度や気持ちに組み合わせて使われます。


・服を片づけたけれど引き出しが閉まっておらず、おざなりだ
・食事のおかずが漬物だけで、おざなりなメニューだと思った
・担当者があまりにおざなりな態度だったため諦めて帰ってきた
・おざなりな謝罪をされて、いっそう怒りが込み上げてきた
・こちらが言いよどんだにもかかわらず、彼はおざなりにせず最後まで聞いてくれた


「おざなり」はこの例文のように、「本当の感情を表に出さない」「仕事などをいい加減に扱う」「やるべきことをやっていない」という様子を表します。


「おざなり」の類語
類語に置き換えてみると「おざなり」の意味がよりイメージしやすくなります。
おざなりの類語は「適当」「いい加減」「ぞんざい:ものごとをいい加減に対応すること」「雑」「通り一遍:うわべだけで誠意がないこと」などがあります。

「なおざり」は「おざなり」と別の言葉

「おざなり」と似た言葉に「なおざり」があります。どちらも「いい加減」という意味で使われるので「なおざり」は「おざなり」の誤記ではないかと誤解されることがありますが、それぞれ異なる語源を持つ別の意味の言葉です。


「なおざり」の漢字は「等閑」
「なおざり」は漢字で「等閑」と書きます。「閑」には「暇」という意味のほか「どうでもよい、いい加減」という意味があります。


「なおざり」は古くから使われている言葉で、「なほ+さり」と解釈される説もあります。「なほ」は「~してもなお」のように、そのままなにもせずにいること。さりは「去り」のことで、「遠ざける」という意味があります。
ここからも「なおざり」はいい加減にしてずっと放っておくことという意味だとわかります。


「なおざり」の例文
「なおざり」は以下のような状況で使われます。


・メールの既読スルーはなおざりな対応だといえる
・こちらの意見はまったくなおざりで聞き入れてもらえない
・クレームを出したのに改善されないなんてなおざりな対応だ
・勉強がなおざりだったので、テストは0点だった
・少子化対策というなおざりにできない問題が放置されていた


「なおざり」の場合は、「なにかをする」ということ自体をいい加減にし、対応していない状況を示しています。


「なおざり」の類語
「なおざり」についても類語をみていきましょう。
「なおざり」の類語は「スルーする」「ないがしろ:あってもないもののように軽んじること」「不行き届き」「不注意」などです。どれも相手にしないこと、注意や当然と思われる関心が欠如している様子を表す言葉です。

おざなりとなおざりの覚え方

おざなりとなおざりは、まったく語源も意味も違う言葉です。しかし実際使う場合には、どちらが今の状況にあっているかわからず不安になることもあるでしょう。最後に覚え方を整理します。


「おざなり」はなんらかの言動を伴う
「おざなり」はその場しのぎの誠意のない様子ながら、一応は行動しているという意味で用いられます。


・忙しさのあまり、対応をおざなりにした
・部下の意見をおざなりにワンマンな対応をしている
・説明がおざなりで理解できなかった


この場合は上からそれぞれ、一応は「対応した」「部下の意見を聞いた」「説明を行った」という意味になります。


「なおざり」はなにもしない
なおざりの場合はなにかの行動自体をいい加減に扱い放っておく意味です。


・忙しさのあまり、対応をなおざりにした
・部下の意見をなおざりにワンマンな対応をしている
・説明がなおざりで理解できなかった


この場合は上からそれぞれ、「対応」「部下の意見を聞く」「説明」はまったく行われていないという意味になります。


覚え方は「それなり」と「置きざり」
「おざなり」と「なおざり」の違いを簡単に言いわけると以下のようになります。


・おざなり:それなりに物事を行う
・なおざり:物事を置きざりにして行わない


語呂合わせでいうと、おざ「なり」はそれ「なり」、なお「ざり」はそのまま置き「ざり」と覚えておくと、いざ使いたい場合に思い出しやすくなります。

「おざなり」も「なおざり」もいい加減な対応

「おざなり」は、「一応行動はするもののいい加減な対応をする」という意味。似た言葉である「なおざり」は、「いい加減にとらえて対応をそもそも行わない」という意味です。それぞれの意味の違いを踏まえて状況により正しく言葉を使いわけましょう。

編集&文/SANYO Style MAGAZINE編集部 写真提供/photoAC

 

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