三陽商会のファッションウェブマガジン

世界的アスリートが着る||

世界的アスリートが着る "勝負のとき"のオーダースーツ

スペシャル

オリンピックの舞台で世界を相手に戦い、現在もライフスタイル全般に高い意識をもつトップアスリート2名が、「STORY & THE STUDY(ストーリー アンド ザ スタディー)」のオーダースーツを体験。自ら生地やディテールを選んで仕立てた入魂の一着に袖を通したお二人は、一体何を感じたのか。そのリアルなインプレッションを語っていただきました。

  • プロスキーヤー/佐々木 明

    1981年北海道生まれ。アルペンスキーでソルトレークシティーオリンピックへ初出場し、その後トリノ、バンクーバー、ソチと4大会連続でオリンピック日本代表に。ワールドカップではアジア人最高位、最高回数の表彰台に立ち、今もなおその記録は抜かれていない。22歳でゴーグルブランド「EMUSI(エムシ)」を立ち上げ、実業家としても活動。ソチ五輪後は山岳スキーに転向し、世界の山々へ挑んでいる。2019年からアルペンスキー日本代表国内強化ヘッドコーチも務める。

  • 女子ラグビーフットボール/桑井亜乃

    1989年北海道生まれ。「ARUKAS QUEEN KUMAGAYA」所属。高校時代は円盤投げの選手として国体入賞を果たし、中京大学卒業後にラグビーを始める。リオデジャネイロ五輪からオリンピック正式種目に採用された7人制ラグビーへ、女子日本代表チーム「サクラセブンズ」のメンバーとして出場。1次リーグのブラジル戦で記念すべきチーム初トライを決めた。

一流アスリートに訊く、“勝負のとき”の心構え

  • ――まず、お二人の近況からお伺いできますでしょうか。


    佐々木 ソチ五輪の後から続けてきた「AKIRA’S PROJECT」という活動があるのですが、今はその佳境にさしかかっていますね。モンゴルとノルウェーを訪れて山を登り、滑ってきた模様をセルフプロデュースで映像に収め、作品として発表するというプロジェクトです。今年10月にリリース予定で、今は映像に音楽を組み合わせる作業を進めています。アートとしてのスキーを世の中に広く発信する作品として、意欲的に取り組んでいますね。

桑井 自粛期間は個人でのトレーニングを続けていたのですが、最近は少人数の練習から始まって、徐々にチームとしての活動を再開できるようになりました。オリンピックは延期になってしまいましたが、与えられた時間の中でベストを尽くして、東京五輪を自分の集大成にするつもりでトレーニングを重ねています。


――一瞬の判断ですべてが決まるスポーツの世界に身を置くお二人が、“ここぞ”というときに意識していることはありますか?


桑井 試合中は無我夢中で、何かを意識的に考えたりすることはないですね。戦術は事前に叩き込んであるので、あとはひたすらプレーするだけ。ただ、ひとつだけ決めているのは、試合前、グラウンドに入って行くときに笑顔で走って行くということ。そのときが一番緊張の高まっている瞬間なのですが、そこでは笑っていたいなと。それに尽きますね。
佐々木 素晴らしいことですね。僕は“今この瞬間”だけに集中することを大切にしています。マインドフルネスと呼ばれる考え方ですね。長い時間をかけて、疲労困憊になりながら山を登って、滑り降りるのは一瞬。そのときに、“前はこうできたからよかった”とか、“もしこうなったらどうしよう”といった思考に惑わされることをやめて、“今”だけに正面から向き合うことがとても重要です。最高の結果を出そうとするとき、最後の最後で成否を決めるのはマインド。フィジカルと同じようにマインドもトレーニングで鍛えることができます。僕がヘッドコーチをしているアルペンスキー日本代表チームにもマインドフルネスのトレーニングを取り入れたいと思っているんですよ。

  • ――スポーツの世界だけに限らず、仕事の正念場など色々な“勝負どころ”を制するうえで、大変参考になるご意見です。ちなみに佐々木さんはヘッドコーチとして、桑井さんは五輪経験者として、後輩を導く立場でもいらっしゃいますが、その際に心がけていることはありますか?


    桑井 自分の役割は世界の厳しさを後輩に教えることだと思いますが、それを押し付けるのは好きではないんです。だから後輩に言い聞かせるよりも、向こうが自ら進んで理解したいと思わせるにはどうすればいいかを考えていますね。リフレッシュタイムでの交流も大切にして、自然に後輩とコミュニケーションするようにしています。そうすると向こうから「オリンピックのときはどうだったんですか?」と訊いてくれるようになるんですよね。

佐々木 僕は“オリンピズム”を後進に伝えたいと思っていますね。本来オリンピックとは能力を競うのが目的ではなく、心身を鍛えて成長し、様々な差異を超え、世界の平和を目指すためのもの。オリンピズムとは、よりよい人生を叶えるための哲学ともいえます。だから僕もオリンピックを通して学んだことを社会に還元して、次世代に貢献したいと強く思っていますね。

“勝負のときのスーツ”二人はこう作った!

  • Style1

    格式高さを強調したスリーピーススタイル


    フォーマルな場にも対応できる、品格たっぷりなスリーピーススタイル。クラシックなペイズリー柄のネクタイと、ブリティッシュなクレリックカラーで、いっそうドレッシーな佇まいにコーディネートしています。「存在感を強調したいときはこういう服装で臨みたいですね」と佐々木さん。アスリートならではのたくましさを引き立てつつスマートな印象に見せるため、ウエストから裾にかけて自然にすっきりと見える補正をかけたジャケットにも注目。


    ◆オーダースーツ(3P)本体価格 ¥178,000
     オプション 
     本切羽 ¥3,000
     水牛釦 ¥3,000
     キュプラ裏地 ¥3,000
     本台場 ¥3,000
     ネーム刺繍 ¥1,000


    ◆オーダーシャツ本体価格 ¥13,000
     オプション
     クレリック ¥500
     ネーム刺繍 ¥500
     釦根巻き  ¥500


    ◆その他
    ペイズリーネクタイ ¥16,000

    パイピングチーフ ¥5,000


    ※全て税抜き価格

――今回、佐々木さんには生地やディテールまでご自身でお選びいただきましたが、とてもベーシックにオーダーされたのがちょっと意外でした。


佐々木 もともと僕は、あえてスーツを着ないようにしてきた人間なんですね。アルペンスキー日本代表ヘッドコーチに就任して、理事の方々と交渉事を進める際にも、意識的にラフな格好をしていた。でも、そんな人間がある日突然、ビシッとスーツを着て現れたら一瞬で空気が変わりますよね。そんな場面をイメージしながらオーダーしたスーツです。だから、とことん正当なものにしたかったんですね。


――そこまで計算していたとは……


佐々木 あとは、自分はいつも尖った発言をするので、そことのギャップを狙ったということもありますね。服装はいたって紳士的なんだけど、言ってることはとんでもないという(笑)。でも、そういう攻めた発言も、服装ひとつで捉えられ方は違うと思うんですよね。


――おっしゃる通りです。そして、デザインもフォーマルなスリーピースをお選びになりましたが……


佐々木 このベストにちょっとした憧れがあったんですよね。普通のスーツとは違う感じが出せるじゃないですか。自分はビジネスマンじゃないから、いかにもビジネススーツという雰囲気にはしたくなかった。だから、スリーピースがちょうど良いかなと思って。


――大変よくお似合いです。着心地はいかがですか?


佐々木 素晴らしいの一言です。実はシルエットにもこだわりがあって、いろいろと相談させていただきました。スーツスタイルのときは、あまりアスリートっぽいデカさを強調したくなかったんです。かといってパツパツも避けたかったので、とにかくシルエットが美しく見えるようにしてくださいとオーダーさせていただきました。それから、自分は内転筋(太ももの内側の筋肉)からハムストリング(太もも裏側の筋肉)が発達しているので、普通のパンツだと穿いているうちにずり上がってきてしまうのですが、それもうまく補整していただきました。こういった細かい注文ができるから、やっぱりオーダーはいいですよね。


――今回オーダーいただいて、特に面白かったところはどこですか?


佐々木 “場を制する服”を作るためにはどうしたらいいかと考える過程が楽しかったですね。生地やデザインはもちろん、ほんのひとつまみシルエットを変えるだけで印象はガラリと変わりますから、それをどう組み合わせるかがオーダーの真骨頂だと感じました。結果として大満足な一着を仕立てていただいて、本当に嬉しいですね。

佐々木さんのこだわりディテール

01
  • Style 2

    ベストなしで着ればシンプルで清潔感ある装いに


    スリーピースはベストを抜いてベーシックなスーツとしても着回せるのが便利。白無地シャツとネイビーの小紋柄ネクタイでシンプルにコーディネートすれば、清潔感が引き立つ印象に仕上がります。歪みなくキレイに落ちるパンツのシルエットが印象的ですが、これは太ももが発達した佐々木さんの体型に合わせて細かな補整をかけた結果。前股上は−5㎜、後ろ股上は+5㎜、ふくらはぎは+5㎜……といった具合に、細かな調整を随所で行っています。


    ◆オーダーシャツ本体価格 ¥13,000
     オプション
     ネーム刺繍 ¥500
     釦根巻き  ¥500


    ◆その他
    小紋柄ネクタイ ¥16,000


    ※全て税抜き価格

  • Style1

    ボウタイブラウスを合わせて女性らしい装いに


    胸元に華やかなポイントを作れるボウタイブラウスをコーディネート。清潔感のある白無地は夏らしいライトベージュのスーツともベストマッチです。マニッシュなイメージを演出するため、ジャケットはあえてメンズをベースに。かつ、女性らしいシルエットが美しく出るよう、バスト周りを立体的に補整しています。こういった複雑なオーダーに対応するのもストーリー アンド ザ スタディーの強みです。


    ◆オーダースーツ(2P)本体価格 ¥115,000
     オプション
     本切羽 ¥3,000
     貝釦  ¥2,000
     キュプラ裏地 ¥3,000
     パンツ総裏  ¥2,000


    ◆ボウタイブラウス
    ホワイト ¥13,000


    ※全て税抜き価格

――桑井さんはこれまで、どういった場面でスーツを着用されてきましたか?


桑井 大きな大会があるときには、チームのオフィシャルスーツを着て会見などに参加します。なので、オーダースーツ自体は以前にも経験があるのですが、そういうときのスーツはベーシックな色柄なので、今回のように明るい色のスーツを仕立てるのは初めてでした。ちょっと緊張したけど、出来上がるまでがすごく楽しみでしたね。


――今回はライトベージュの生地をチョイスされましたが、どのようにお決めになったのですか?


桑井 お店でオーダーするとき、いろいろな生地の見本を顔のそばにもってきて、比べて見させていただいたんです。一見ほとんど同じような色でも、ちょっとトーンが変わるだけで顔色がよく見えたり、くすんで見えたりするのがわかって、自分に似合う色ってやっぱりあるんだなということを実感しました。今回の生地は、そうやって比較したうえで選んだので、とても満足しています。


――オーダーの際にイメージしたことはありますか?


桑井 ラグビー選手としてもそうですけど、そこ以外でも憧れられるような女性になりたいなというのが自分の目標なんです。なので、そういう格好いいオーラのあるスーツが欲しいなと思っていました。あとは将来、海外でも活動したいという目標もあって、その舞台でも映えるものを、というイメージもありましたね。


――クールな印象のパンツスーツをお選びになりましたが、そういったイメージにもぴったりですね。


桑井 そうですね。それから今回、足首を見せたいという希望もあったんです。足首が細いのが自分の魅力かなと思って(笑)。


――実際に袖を通して感じることはありますか?


井 驚いたのは、まったく無駄なシワがないこと。私もアスリートなので、普通の方とは体型も違うと思うのですが、ここまでキレイに仕上げていただけるとは正直想像していませんでした。しっかりフィットしているんですけど窮屈に感じることもなくて、すごくいいブランドだなと感じましたね。愛着を持って、大切に着ていきたいと思っています。

桑井さんのこだわりディテール

01
  • Style 2

    ジャケットを肩がけしてクールに着こなしてもよし


    無造作にジャケットを肩がけすれば、ひと味違ったクールな佇まいに。インナーは上と色違いのボウタイブラウスですが、胸元の結び方を変えて印象チェンジしています。美脚効果の高いワイドパンツは、引き締まった足首の細さを強調するためクロップト丈に設定。適度なハリ感があり、仕立て映え抜群なウールシルク生地ともあいまって、非常に美しいラインを描いています。


    ◆ボウタイブラウス
    ブラウン×ドット ¥13,000(税抜)

撮影/若林武志 編集&文/小曽根広光 ディレクション/Pomalo inc.

 

PAGE TOP