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漢字の常識|「只管」とはどういう意味?読み方から使い方までチェック!

漢字の常識|「只管」とはどういう意味?読み方から使い方までチェック!

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小説などを読んでいるときに、意味がわからない言葉や難読漢字が出てきて困った経験はありませんか?読めない漢字は飛ばしてしまいがちですが、知識を増やすチャンスとも考えられます。難読といってもパターンはさまざまです。たとえば、漢字自体は難しくないものの、当て字に使われると読み方が一致しなくなるケースがあります。今回ご紹介する「只管」は、当て字の読み方が難しいですが、意味合いとしては一般的によく使われる言葉です。「只管」はなんと読むのでしょうか?意味や類似語、文章としての使い方まで詳しくご紹介します。ぜひご参考にしてみてください。

「只管」の読み方や意味は?基本情報を確認

まずは、「只管」という言葉について、基本的なことを見ていきましょう。


「只管」はどうやって読むの?
「只管」と書いて「ひたすら」と読みます。
漢字を分解すると、「只」の音読みは「シ」で、訓読みは「ただ」です。「それだけ、ただ」といった意味があります。

「管」の音読みは「カン」で、訓読みは「くだ」です。常用漢字表外として、「ふさ」や「つかさど(る)」とも読まれており、とりしまるという意味から管理や管轄といった使い方をします。

「只」と「管」どちらの読み方も「ひたすら」と一致しないため、初見で正しく読むことは難しいでしょう。

また、同じように当て字が読みにくい言葉に「一向」があります。「ひたすら」と読むのが正解ですが、「いっこう」と読まれることが多く一般的ではありません。


「只管」にはどんな意味があるの?
「只管」は、形容動詞と副詞それぞれの意味を持っているので、目的に合わせて使い分けましょう。

形容動詞の場合、「そのことだけに意を用いるさま」や「それだけをおこなうさま」という意味があります。
「只管な願い」や「只管に言い訳する」などは、「もっぱらそのことだけをおこなうさま」を表現する使い方です。

副詞の場合は、「ひとすじに」や「いちずに」といった意味があります。「只管歩き続ける」、「只管勉強に励む」など、表現はさまざまです。ほかにも、「まったく」や「すっかり」といった意味を持っています。


「只管」の由来とは?
読み方が一致しないのに、なぜ「只管」という当て字を使っているのか疑問に感じませんか?実は、「只管」という漢字には曹洞宗が関係していると考えられています。

曹洞宗を開祖した道元は日本の僧で、中国に渡って禅を学び日本に伝えました。道元の坐禅である 「只管打坐(しかんたざ)」が「只管」の由来になった言葉とされています。

背筋を伸ばして身体を真っ直ぐにすることで、心が真っ直ぐになることにつながるのが坐禅です。
「只管打坐」には「ただひたすらに坐る」という意味があり、坐禅によって体と心が1つになることを表しています。

「只管」の類似語はおもに3タイプ!知っておきたい豆知識

「只管」の読み方や意味がわかったところで、続いては知っておくと役立つ類似語についてご紹介します。類似語がわかると、別の言い方に置き換えることができて便利です。


「只管」の類似語①
「只管」の副詞でご紹介した「ひとすじに」や「いちずに」の意味で使われる類似語として、「一途に」があります。
「一途」は名詞や形容動詞として使われ、意味は「他のことを考えずに、1つのことに打ち込むこと、またそのさま」です。「ひたすら、ひたむき」という意味もあり、「只管」と同じように、気持ちのあり方に重点を置く表現に多く用いられています。


「一途」を使った例文
・彼は学生の頃から彼女のことを一途に思い続けている。
・資格試験に向けて勉強一途の毎日です。


「只管」の類似語②
「只管」を形容動詞で使うときは、「もっぱらそのことだけをおこなうさま」という意味があります。類似語となるのが「専ら(もっぱら)」です。
副詞では、「他のことはさしおいて、1つのことに集中するさま」や「ある1つのことを主にするさま」といった意味の表現となります。


「専ら」を使った例文
・彼は次の部長になると専らのうわさだ。
・休みの日は専ら趣味の釣りに出かけている。


「只管」の類似語③
「直向き」も類似語の1つ。「ちょくむき」や「じかむき」と読みがちですが、「ひたむき」が正しい読み方です。
形容動詞として使われ、「1つのことだけに心を向けているさま」や「忍耐強く一途に打ち込んでいるさま」といった意味で使われます。


「直向き」を使った例文
・直向きに努力を続けた結果、志望校に合格することができた。
・仕事に打ち込む彼女の直向きな姿勢が周囲の人に影響を与えた。

「只管」の使い方は?例文をチェック!

最後に「只管」を使ったさまざまな例文をご紹介します。
「只管」の意味合いによって、表現を使い分けるのがポイントです。ここでは2つの意味について見ていきましょう。


「只管」の使い方①そのことに専念する意味で使う
1つめは、「そのことに専念する」という意味で使う場合です。ほかのことを無視して、そのことだけに意思や精神を集中させる表現となります。「に」をプラスした「只管に~する」という表現は、強調したいときに効果的です。

では、実際に例文を見ていきましょう。
・彼女は只管に祈りを捧げている。
・地図に示された道を只管歩き続けていたら、目的地が見えてきた。
・周りに迷惑をかけてしまい、只管にお詫びするしかなかった。
・次の休みは只管にレポートを書かなければならない。
・英語を只管勉強していたら、少しずつ理解できてきた。


「只管」の使い方②もっぱらそのことだけをおこなう意味で使う
2つめは、副詞として「ひとすじに」や「一途に」という意味で用いる場合です。
集中しておこなう様子や、精神を集中している状態を表現します。ほかのことは含まれず、頭も体も今おこなっていることが全てという状況にぴったりです。

では、実際に例文を見ていきましょう。
・私は只管子供の無事を願った。
・時間が過ぎるのを感じないくらい只管走った。
・技術を身につけるために只管練習している。
・記録を伸ばしたくて只管泳いだ。

「只管」の意味を知って正しく使いこなそう

今回は「只管」についての、読み方や意味、使い方などを詳しくご紹介しました。
一般的に漢字で表記することはほぼありませんが、口語では使う機会が多いのではないでしょうか。会話に用いるときは、正しく使い分けることがポイントです。
「只管」の意味と同じように使える類似語の知識も身につけて、文章を作成するときに役立てましょう。

編集&文/SANYO Style MAGAZINE編集部 写真提供/photoAC

 

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