三陽商会のファッションウェブマガジン

生産性向上とはどんな意味?指標の考え方や今やるべきことを解説

生産性向上とはどんな意味?指標の考え方や今やるべきことを解説

LIFE STYLE

「生産性向上」という考え方は古くからあり、製造業などで用いられてきました。昨今、働き方改革などに関連してよく生産性向上という言葉を耳にします。この記事では、生産性向上の意味や自分の生産性を向上させるためにやるべきことについてご紹介します。

生産性とはインプットに対するアウトプットの割合

まず生産性とはどのような考え方なのかについてご紹介します。


生産性の概要
生産とは人間が生活するために必要な物資やサービスなどを作りだすことであり、生産性も生産と同様に経済的な考え方に基づいています。

ものやサービスを作るためには材料や人、お金などさまざまものが必要です。何かを生産するために必要となる材料などのインプットと生産したものの数や価値などのアウトプットとの比率が生産性です。

例えば、何かを作るのに必要な材料にあまりお金がかからず、できたものが高く売れた場合、投資よる成果が大きくもうけが多くなるので生産性が高いといえます。

生産性は、このように付加価値から見たもののほか生産量から見ることも可能。それぞれ1人あたり、1時間あたりの労働生産性として算出できます。


生産性向上の目的
生産性はもともと製造業では多く使われていましたが、それ以外の業態でもよく使われるようになりました。そのきっかけは2018年6月に成立した「働き方改革関連法」です。

働き方改革を導入した大きなきっかけは「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」です。

働き方改革にはいくつか目指すべきものがありますが、長時間労働に対する規制が生産性向上に大きくかかわります。特に2020年4月からは中小企業にも労働時間の上限に対する規制が行われているのです。そこで、企業は労働者の働き方を見直すことにいっそう力を入れています。

生産性が向上すれば、働き手が少なくなっても今まで以上に魅力のある商品やサービスを提供でき、国際競争力を高められます。働く側にとっても、残業をしなくても与えられている仕事を終えられるメリットがあるのです。

つまり生産性向上とは、国内の経済発展はもちろん、働く人のモチベーション向上にも大きな意味があります。


「生産性」と「効率化」の違い
生産性向上とは、今まで行われていた業務効率化とはどのように異なるのでしょうか。

業務効率化とは、文字どおり業務の進め方を効率化させることであり、生産性を効率化させるための方法が業務効率化だといえます。


業務効率化の例
・適切に休憩をとって集中力が落ちないようにする
・業務の目的を確認し、仕事の無駄をなくす
・業務フローを改善する
・外注やITツールなどのシステムを活用する


業務効率化の施策を組み合わせて、仕事が○時間早くなった場合に「生産性が○%向上した」と表現できます。

生産性向上における指標

ビジネスの場合、「○%生産性向上した」と数値化を求められる場合があります。生産性向上にかかわる指標の例を知り、自分の職場に取り入れられそうか検討してみよう。


製造業における生産性向上の考え方
生産性向上の要素はQCDといわれています。昨今はQCDDとされる場合もあります。


・Q:Quality(品質):不良率・市場クレーム件数、品質管理体制など
・C:Cost(コスト):コスト、コスト削減への取り組み体制など
・D:Delivery(納期):納期遵守率、納期管理体制など
・D:Development(開発):技術レベル、開発への協力度など


物的生産性
生産現場などの場合は、生産した数量で生産性を見ることがあります。


・1人あたりの労働生産性=生産量÷労働者数
・1時間あたりの労働生産性=生産量÷(労働者数×労働時間)


付加価値生産性
付加価値生産性とは、いくらで売るのかを踏まえて粗利などで生産性を表す考え方です。
なお、付加価値とは、売上高(生産額)から材料費や外注費、設備費、光熱費など外部から購入した費用などを除いた「もうけ」の部分です。


・1人あたりの労働生産性=付加価値額÷労働者数
・1時間あたりの労働生産性=付加価値額÷(労働者数×労働時間)

生産性向上のためにやるべきこと

生産性向上は企業だけの取り組みだけではなく、働く側の1人ひとりにとっても重要です。ここでは、自分自身の行動の見直しでも改善できる生産性向上のアイディアをご紹介します。


ムダな業務の抽出
必要のない業務を抽出したい場合は、まず業務フローや連携しなければならないメンバー、必要となる備品などを書き出して、業務の現状を把握しましょう。個々の業務ではなく全体を見渡すことで課題が見つかりやすくなります。


全体のフローから以下のようなものがないか検討してみましょう。
・回数の削減:ミーテイング、帳票など
・無駄な支出:複数の部署が似た業務で別の備品を使っているなど
・外注が可能:システムの導入や外部のメンバーに委託できる業務があるかなど


もし業務の進め方を変える場合は、テストをしながら少しずつ進めると微調整がしやすいです。


ツールの活用
業務効率化の考え方のひとつに自分がやっていた仕事を減らすという考え方があります。業務の再分担なども有効ですが、生産性向上には組織全体の長時間労働・残業の削減が重要です。


前例にとらわれずIT化することで効率化できるものは積極的に活用してみましょう。例えば以下のような業務はシステムの活用が有効となる場合があります。
・スケジュール管理
・プロジェクト管理
・勤怠管理
・コミュニケーション
・申請手続き


自分のスキルとモチベーションの向上
自分自身の能力やモチベーションが高くなれば、よりスピーディに働けたり集中して仕事に打ち込めたりできます。日ごろから、仕事上の経験だけにとらわれず、ビジネスはもちろんさまざまな情報に振れて生産性向上のヒントを手に入れましょう。

また、同僚や取引先などと信頼関係を構築したりコミュニケーションの取り方を改善したりして、組織全体の士気が上がると、業務が効率化する場合もあります。

生産性の向上は企業と自分双方にメリットがある

生産性向上とは、インプットとアウトプットとの比率です。働き方改革で注目されている用語ですが、自分がより働きやすくなるために活かせる取り組みです。今回の記事を参考に、可能な部分はぜひ業務に取り入れてみてください。

編集&文/SANYO Style MAGAZINE編集部 写真提供/photoAC

 

PAGE TOP